読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ヘタノヨコズキ

ライフハックと手帳、ときどきうさぎとフェレット

【登場人物が】東宝ミュージカル「貴婦人の訪問」を観てきました【みんなゲス】

雑感 雑記 観劇記

「貴婦人の訪問」というミュージカルを観に行ってきました。

場所は名古屋の中日劇場。
17日のマチネ(昼公演)です。

初演は観ておらず、今回が初めてでした。
そして今回が最後になります。

いや〜もう、すっっごいすっごい良かったよ。
音楽からなにからとにかく素晴らしかった…胸がいっぱいになりました。

一度きりの観劇で覚え違いや勘違いが沢山ありそうですけど、せっかくなので感想を残しておきます。
ネタバレもするので、今日から大阪公演やってますけどこれから観に行く方はご注意ください。
そして色々とお手柔らかに…ライトな盲目ファンの戯言と思ってスルーしていただければありがたいです。

 
 

旨いベテラン勢が演じるゲス市民たち

メイン配役はこちら。

クレア・・・涼風真世
アルフレッド・・・山口祐一郎
マチルデ・・・瀬奈じゅん
マティアス(市長)・・・今井清隆
クラウス(校長)・・・石川禅
ゲルハルト(警察署長)・・・今拓哉
ヨハネス(牧師)・・・中山昇

みなさん大ベテランですがミュージカルとか興味のない人にはほぼ馴染みのない名前と顔ばかりでは。
一般的に知名度があるのは涼風さんくらいなのかな。
祐さんはどうだろうね。皆さん蚊取り線香のCMをご存知だろうか…

私は涼風さんと瀬名さん、あと中山さんは初めてでした。
その他オジサンズはもう何度も拝見していて、何の心配もなく安心して見聴きできる最高のメンツです。

最高のメンツが金に狂う愚かでゲスい市民を演じる、そうゆう作品です。

予想はしてたけど禅さんが可愛くて可愛くて!
白いちょび髭と眼鏡が最高に似合うよね可愛いよね。 禅さんの見た目だけでチケ代の元を取れたと言っても過言ではない。

しかし私の大本命は「祐さん」こと山口祐一郎氏である。
彼を細々と追い続けて早1◯年…

今回の観劇にあたっての不安要素は、初演にて評されていた祐さんの「ひらひらおてて」でした。

わかる人にはわかる。
私もそんなレポを見た時は「あっ…(察し)」であった。
ファンでなければおそらく気になって仕方ないであろう、あのひらひらとした手の動き。盆踊りかな?
まあ見慣れてるっちゃ見慣れてるというか今更そんなこと言われてもというか。←諦めの境地  
 

お金は人を変えてゆく

舞台は財政破綻寸前の小さな町。
人口が2000人くらいなんだっけ?ほとんど限界集落レベルではないかと。

お金のない町で苦しい生活を送ってきた市民たち。刑務所もお金なくて直せないから老朽化して雨漏りしてるそうな。
そこへ現れたのは、かつてこの町から追い出されその後大富豪となったクレア(涼風さん)という女性。
彼女は町に20億ユーロを寄付する条件として、かつて自分を裏切った元カレのアルフレッド(祐さん)の死を要求する。

そう、クレアは寄付するためではなく、元カレに復讐するためにこの町に戻ってきたのです。

アルフレッドはこの町で雑貨屋さんを営む普通のオッサンです。
モサモサ頭にメガネにヨレヨレのお洋服でチラシのビジュアルと全然違うやないか!
(一緒に観に行った母と夜公演を観に行った祐さん初見の友人にもここは突っ込まれた)
今更だけどあのチラシは詐欺でしょう。どうしてああなった…

しかしこのヨレヨレビジュアルは後ろからギューって抱きつきたくなる可愛さで個人的に大ヒットです。
役はとんでもなくゲスかったけど。

これまでの長いキャリア、もはや人間とは言えないとか地位の高い俺様系とかな役が多かったように思いますが、今回は気弱な子犬系小市民という大変に珍しい役。
デカい体を縮こませ、内股でパタパタと右往左往。座る時もちょこんと内股。
おい、その内股やめろよ!萌えすぎてハゲちゃう…!  
 

クレアが寄付してくれるという20億ユーロは、日本円にして約2300億。

その膨大な金額に目がくらみ、まだもらってもいないのに金銭感覚を失いキャビアだ車だなんだとクレカで買い物しまくる市民たち。
市民たちが高い買い物をすればするほど、アルフレッドは死に怯え追い詰められていきます。
金と引き換えにアルフレッドが死ぬなんてことはね、市民たちはあっと言う間になんとも思わなくなる。

だってお金が欲しいから。
だってもうカードでお買い物しちゃってるし!
クレアからお金もらえなきゃ困るもん。
だからアルフレッド死んでくれなきゃ困るもん。

最初は「アルフレッドを殺すくらいなら餓死した方がマシだ」と歌っていたオジサンズたちも、次第に市民たちに流されていく。
市長(キーヨ)の変わり身の早さにはビックリしたわ。まあ潔いっちゃ潔い。
ずっと抵抗していた校長(禅さん)がついにあっち側へ行ってしまった時は本当に悲しかったよ。
ああ、禅さん…善の塊のような禅さんが…(シャレではない)
2幕で禅さんが酔っ払いながら道徳心と欲望の間で葛藤するシーンは素晴らしかったです。

おててひらひらひとりコント状態で浮いてるという評を初演の際によく見かけた祐アルフレッドですけど、観終わった後には「これはこれで良かったんじゃないの」と。
というか、そんなにひらひらしてなかったと思うんだけど…気のせいか?

膨大な金額に浮かれる市民たちとは真逆の方向へ追い詰められていくアルフレッド。
彼だけ全く違う状況でひとり浮くわけで、1幕の祐さんのあの演技はその滑稽な浮きっぷりが際立って良かったよ。
そして2幕ではまるで悟りを開いたかのようにシリアスになっていく。
メリハリがあって良かったと思うんだけどなあ。

…私も祐さんのこととなると盲目ですからね。
だいぶ贔屓目というか都合良く見てしまってるところがあるかもしれませんけど。  
 
この話、登場人物が全員ゲスくてアルフレッドこそゲスの代表であるわけですが、あれだけ皆に罵られて弱っていくところを観ていると自業自得とはいえ本当にかわいそうになってくるよ。

一番気の毒なのはアルフレッド妻のマチルデ(瀬名さん)かなあと思ったけど、彼女もアルフレッドとクレアの事件をもちろん見ていたひとりで、アルフレッドが好きだったマチルデにとっては超ラッキーだったわけです。
クレアが不幸になることをわかってた上で自分の幸せを手にしたのだから。 それを思うとマチルデもなかなかのもんですよっていうか女は怖いね。

しかし1幕で「あなたが死ぬ時は私も死ぬわ」とまで言ってくれたマチルデに対して「金のために結婚した」ことを一切否定しなかったアルフレッドはやはりゲスであった。私だったらこの時点でアルフレッド殺してるよ。

それまでのアルフレッドだったら「金のためなんかじゃないよ!」と否定してたんでしょうけど。
それをしなかったあたり、アルフレッドの覚悟のようなものも感じました。
あれは彼がある意味改心した瞬間でもあるのかもしれない…と思ったり思わなかったり。
なんにせよマチルデにとって最悪の結果となったことに変わりはないが。

クレアは最後の最後でアルフレッドを許すんだけど、正直言ってこれは「??」だった。
そりゃアルフレッドは結局死んでしまうわけで、この先もう裏切られることもないんだけどさ。
でも死なずにあのまま生きてたら…コイツまたやるぞ。

アルフレッドを殺す時に、キーヨ市長が「自分で殺れ」って言ったんだよ。
おまえのためだ、おまえをこの手にかけたくないみたいな感じでさ。
あれこそゲスの極みだよ何が「おまえのため」だよ。

おまえらあの時みんなアルフレッドの味方をしたんでしょ?
アルフレッドの味方をしてクレアを娼婦扱いして追い出したのはおまえらじゃないか。
それを今度は大金を手にするためアルフレッドを死に追いやることを正当化したわけだ。
自分たちのやらかしたことは棚に上げてね。

まあ「おまえのため」じゃないことはアルフレッドもわかっていたでしょうけどね、この一言には心底ゾッとしました。
人間の心の汚さをまざまざと見せつけられ、それだけにクレアの「人殺し!」の叫びは胸に突き刺さりました。  
 
 

…で、この話はおしまい。
どうですかこの後味の悪さ。  
 
ここまでさんざんこいつらゲスいと言ってきましたけど、実際自分があんな大金を目の前にしたらどうするだろうか。
自分があの市民たちの立場であったら…

人間誰しも、あの市民たちのようになってしまう要素を持っているのだと思うし。
なんていうか、最初は抵抗していても…きっと周りに流されてしまうよね。
禅さんが最後はそうなってしまったように。
そうゆう「集団」の怖さも感じたよね。

お金と人間の汚さ、道徳心の脆さにひたすら震える作品でした。
素晴らしい舞台だったけど、話は暗いしこのとおり皆ゲスいし怖いし結局アルフレッド死ぬしで決して楽しい作品ではなかった。
 
観終わった後も悶々と考えてしまい、この記事書くにもかなりの時間を要してしまいました。  
 

とにかく涼風真世が凄いの一言

最初の方で「安心して観られるメンツ」と書きましたが。

涼風真世は化け物なの?
(褒めてるんだよ)

涼風さん、あのほっそい身体のいったいどこからあんな声が…

圧倒的な声量、圧倒的な存在感。
オジサンズを全員なぎ倒せそうなほどの威圧感。
しかしアルフレッドと二人のシーンではポキっと折れそうてしまいそうなほどの繊細さ。
ずっと憎んできたけど、愛していたのも本当だから。
アルフレッドの言葉に心がグラグラ揺れてしまうんだよね、その揺れが痛いほど伝わってきた。
まあ実際アルフレッドは調子の良いこと言ってただけなんだけど(ゲスい)

一緒に観た母は「涼風真世好きじゃないなあ」って言ってたのに観終わったら「涼風真世すげえ!!」にコロっと変わっていた。
クレアは他の人ではちょっと考えられないなあ。
この先また再再演があるのかどうかわかりませんが、涼風さんが出られないとなったらもうやらない方がいいとすら思う。  
 

長いキャリアの中でも数少ないであろう、人間らしい人間の役だった(爆)祐さん。
これは貴重です。観れてほんとに良かったよ。

今回の祐さんはね…なんて言っていいんだろうね。
それこそトートみたいな役だったらね、「あーすごかった!よかったよかった!」で済むんだけど。

私、祐さんのああいう歌い方は初めて聴いた気がするというか…
うまく歌おうって感じじゃなくて、感情そのままに歌ってるというか…
とにかくすっごく良かったんだよ。
すごく素敵だったの。

涼風さんとハモってる時の優しくて切ないような少し弱々しいような、あの声が耳から離れないんだよね。 ほんとに美しいハモりで切なくて胸が熱くなって涙が出た。
耳が幸せってこうゆうことよ。

そうそう、1幕の終わりの方でアルフレッドが舞台から客席に降りたんだよ。
おやおや?と思ったら…そのまま客席の通路を走ってきた。

私、その通路側に座ってたんです。

「お?お?おおおおおおおおお…!!」

ってなってる間にアルフレッド…祐さんがどんどん近づいてきて私の真横をドドドっと走り去った。
その距離おそらく数十センチほど。ほんとに真横。

走り去った時に、ふわっと風が!
祐さんが走った後の風が私にふわっと…!
もう頭が真っ白に…
おそらく口もあんぐり開いて相当なバカ面になっていたかと。
別に誰も見てないからいいんだけど。

ちなみにこの風は無臭であった。汗臭さもオジサン臭さも皆無!!
さわやかな無臭の風でありました。
すいませんね変態みたいなこと言って…自分でも気持ち悪いなと思ったよ。

私、出待ちとかしたことないんでこんな至近距離で祐さんを見たことがないんです。
席もそんなに前の方座れたことないし。

腰がすんごい高い位置にあってさ。
薄暗かったけど体がデカイのと足がむちゃくちゃ長いのはよくわかった。
ていうかもう…かっこよかった。
その後の幕間では放心状態に(死)

これ、そのうちCD出るよね?
欲を言えばDVDにして欲しいんですけど東宝さんどうですか?
これの祐さんの歌声…涼風さんとのハモリは、絶対手元に置いておきたいのです。
よろしくお願いします。  
 

山口祐一郎という人

ここからは余談。
思いが溢れて止まらないのでちょっと喋らせてください。読んでくれなくていいので。

私が初めて「山口祐一郎」という人を認識したのは、今から15年ほど前。
高校生の頃に放送されていた「恋を何年休んでますか」というタイトルのドラマでした。
飯島直子の旦那の「いっちゃん」っていう役でした。
売れない役者で主夫状態のヘタレな役でした。

このいっちゃんがさ、スタイル良し顔も良し。ところが頭はボサボサでヘタレで空気読めなくて、でも憎めない可愛さがあって…
動きから喋り方から表情から、もうとにかく可愛いったらなかったんだよ。
同級生も何人かこのドラマ見てたんだけど、「いっちゃんは可愛い」で意見は一致してました。
(この同級生たちには未だに「いっちゃん」で通じてる)

今だったらすぐに「誰だこの人は!!」ってすぐ調べるんだけど、当時はパソコンも携帯も持ってなくてね。
実はミュージカルの凄い人だったと知るのは、もう少し後のことになります。
ついでに歳を知った時もひっくり返るかと思った…もっと若いと思ってたんで…

四季時代のオペラ座の怪人のCDを買って初めて歌声を聴いた時の衝撃は凄まじく、忘れられない。
そして初めて舞台を観に行った時の感動も。
初めて観たのはエリザベートでした。
もうほんと、バズーカみたいな歌声で「ぇえ…」ってなったわ。

学生〜フリーター時代は、祐さんの舞台が名古屋に来ればお金のある限り観に行ってました。
もっともっと観たくて大阪に遠征したりしてました。
食費を削りまくって、ほとんどバイト先のまかないしか食べてないこともあった。
そんなことをしてたら栄養失調になりかけて倒れました。バカですね。

だけどあの生活に後悔はしていない。
舞台を観てる間はほんとに幸せでね〜。
身体はしんどかったけど、あの頃に戻りたいって今でも思います。

やがて名古屋から地元に戻り、病気になったりしてお金もなく、長い間観劇から遠ざかっていました。
その間に「もうダメかもしれん」と言われるほど調子の悪かった時期もあったようで。
突然レミゼ降板してしまったりね。
でもその時自分は観に行けてなくて実際どんな状態だったのかわからなかったから余計に心配だった。
そりゃ人間だから調子の悪い時期があって当たり前なんだけどさ。

なんとか生活にも余裕が出てきて、やっっっと観に行けたのが今年5月にあった「エドウィン・ドルードの謎」の名古屋公演。
元気で相変わらず可愛い姿を生で見れてホッとしたし…やっぱりすごく楽しくて。
観てる間、歌を聴いてる間のなんと幸せなことか。
心を一気に昔に引き戻されてしまったよ。

で、今回に至るというわけです。

あの歌声と可愛さは私にとって唯一無二。
心臓をガシッと掴んで離してくれない。
もう一回観る、もう一回観る!ってなっちゃうんだよなあ。
そして金がなくなるのさ。

またこうして観に行けるようになれてほんと嬉しいし幸せ。
ここまで頑張ってやってきて良かったです。
さすがに昔のような無茶はしませんけど、今後も出来る限り観に行きたい。
東京まで遠征できればなあ…そこまでの余裕はまだないんだよな。
クリコレ行きたかったっす。

いつまでも若く見える祐さんも、ついに60歳を過ぎた。
身体に気をつけて、これからも楽しくお仕事ができますように。